どの町にもカジノは存在し、どの町のカジノも一日中にぎわっている。 この町のカジノも例外ではなかった。 カジノ店の店員たちは、みな忙しそうに言ったり来たりしている。 もちろん店員の中には女性もいて・・・。 「ねぇ彼女。大変そうだね。手伝おうか?」 ククールはいつものように女性に声をかけ始めた。 店に入って5分。声をかけた人数は、これで3人目。 (まさか、いつもこんななのかな・・・) ククールから少し離れたところで、エイトはククールと女性のやり取りを見ていた。 エイトはククールのような顔の良い男性に誘われれば、 女性はすぐついていってしまうだろうと思っているため、 こんな遊びのようなやり取りでさえハラハラものだ。 しかし、当然女性店員は仕事中。 「あら。でもごめんなさいね。 お客様にお手伝いさせるわけにはいかないわ。ご好意だけでももらっておくわね」 そう言って可愛らしくククールにウィンクをすると、 女性店員は店の奥へと急がしそうに去っていった。 エイトは、遊ぶ気になるどころか、 ククールと一緒に居るのがつらくなってしまい、そっと店を抜け出した。 しかし先ほど女性店員に軽くあしらわれていたククールはすぐには気づけなかった。 「やっぱ、こんな小さなカジノじゃ店員も少ねぇな。 誰もかれも忙しそうに去ってっちまう」 ククールはひとり言を言いながら店の中をブラブラしていたが、 突然エイトがいないことに気がついた。 何せ、いつもは一人出来ているため、たまに2人で来たりしても忘れてしまうのだ。 「・・・・・どこ行った?」 ククールは店中を歩いて探す。 小さな店のため、探し回るのに時間はかからなかったため、 エイトが店の中にはいないということがすぐに分かった。 「・・・・・・・エイト!」 ククールは勢いよく店を飛び出した。 一方、店を勝手に出てきたエイトは、町をブラブラと彷徨っていた。 「このまま宿屋に戻るのもなんだしなー。どうしようかな・・・」 エイト自信にもよく分からないが、なんとなく宿屋には戻りたくなかった。 宿屋に戻りすぐ寝てしまえばいいのだが、そんな気分にすらなれないのだ。 (やっぱりククールは、女の子の方が好きなんだろうな・・・。 あぁしてる時のククールは、すごく楽しそうだったし) エイトは町から出て、 町のすぐ前に植えられていた木に背をあずけ、また夜空を見上げた。 「どうして僕って、こうマイナス思考なんだろうな・・・。ねぇトーポ」 エイトの愛ネズミのトーポに、気をまぎらわすために話しかけた。 何か言っていないと、目の前が霞みそうになってしまうから。 しかし今日に限って夜空は晴れていて、星が輝き、 気温も暖かく穏やかな風が吹いていて、エイトの心をなだめるかのような夜のため、 いくら夜空を見上げていても、涙がこぼれてきてしまう。 エイトは誰もいないにも関わらず、慌てて涙をぬぐった。 「何で・・・僕が泣いたりしなくちゃいけないんだよっ!ククールなんか大っ嫌いだ!!」 ひとり言だが、後半の言葉が小声気味になってしまう小心者の自分に嫌気がさし、 余計に涙が止まらなくなってしまった。 「僕は嘘つきだね、トーポ。ククールが大嫌いなんて・・・思ってるわけないのにね・・・」 「チュー・・・」 トーポは心配そうにつぶらな瞳をエイトに向け、 小さな手のひらでエイトの頬を撫でた。 まるで慰めるかのように。 「トーポ・・・・・・。ありがとう」 エイトは涙で濡れたまつげを閉じ、必死で笑った顔をつくってみたが、上手く笑えず、 ただ余計に涙がこぼれてしまうだけだった。 エイトはトーポをカバンの中に戻し、膝を抱えて顔をうずめて声を殺した。 泣く声が誰にも聞かれないように。 その時・・・・・。 「エイト!!!!」 耳に良く馴染んだエイトの大好きな声が、走る足音と共に、 遠くから、しかしとてもハッキリと大きく聞こえた。 エイトが顔を上げた瞬間、誰かに前から押されたような衝撃を受け、 エイトはククールの腕の中にいた。 ククールの息はそうとう上がっている。 抱きしめられているエイトですら、ククールが息継ぎをするたびに上下に動いてしまう。 「クク・・・」 「何やってんだ!!!」 エイトの言葉をもさえぎり、ククールはエイトを抱きしめたまま力のあまり叫んだ。 エイトは親に怒鳴られた子供のように、再び泣き出してしまう。 「だって・・・・ククールの邪魔・・・・しちゃ・・・・悪いと思って・・・・・っ」 エイトはしゃっくりをあげながら必死に話す。 そんなエイトを、ククールは力いっぱい抱きしめた。 「お前・・・なんのために俺がさそったと思ってんだよ」 「・・・・・・・・・ただ一緒にいくだけなんじゃ・・・」 「そんなわけねぇだろ!?・・・ったく・・・。 俺はな、エイトが最近疲れた顔ばっかしてるから、元気づけてやろうと思ったんだ! それをお前は、俺がちょっと目を離したスキに・・・」 今のククールのセリフを聞いて、エイトは怒鳴った。 「ククールが女の子に話しかけてばっかりだったから、それがイヤで出てきたんだよ!!」 エイトは自分の気持ちを大声で言ったりするような性格ではないため、 いきなり本音を聞いたククールは驚いて何もいえない。 それをいいことに、エイトは次々とククールに言葉を投げつける。 「ククールが悪いんじゃないか!! いつもは一人で勝手にいっちゃうくせに僕を誘ったりするから!! ・・・僕は嬉しかったのに・・・ククールは女の子ばっかで・・・。 そんなの見たくなかったのに!!ククールなんて大っきら・・・」 ―――エイトは最後まで言えなかった。 言いたくないのに口から出てきそうになった言葉を紡ぐ一歩前で。 ククールが抱きしめたままエイトにキスをしたからだ。 エイトは足掻く。 「離・・・っククール・・・っ」 しかし、エイトは腕の力も肩の力もとうていククールにはかなわないため、 ククールの腕の中から抜け出すのは不可能だった。 それが分かったエイトは、しばらくして大人しくなった。 ククールはエイトから唇を離し、今度は涙に口づけた。 そしてエイトの頬を両手でつつむと、お互いの額をくっつけ静かに言った。 「エイト」 しかしエイトは目線を合わせようとしない。 「エイト、こっちを見てくれ」 柄になく沈んだ声で言うククールに、エイトはやっと目線を合わせた。 「エイト。今回のことは俺が悪かった。謝るよ。 でもな、いきなり居なくなるなんてこと、2度としないでくれ。 お前がいないと分かったとき、 俺の心臓が一瞬止まったかと思ったくらい心配したんだぞ?」 「・・・・・・ごめん・・・・・。ごめんね、ククール・・・。さっきも、大嫌いなんて言って・・・。 嘘だからね。僕、ククールのこと大好きだからね・・・」 エイトの告白を聞いて、ククールはエイトの額にそっと口づける。 「あぁ、分かってる」 そして、優しく微笑んだ。 「そういえば、前にもこんなことがあったね」 「そうだったか?」 「うん。あの時も、ククールがこうしてくれたんだよ。 僕、いつもククールに迷惑かけてるね・・・」 「そんなことねぇさ。俺がたんにエイトに関わっていたいだけ」 「ほんと?」 「あぁ」 夜が明ける。 宿屋に戻った2人は、すぐに眠りについた。 夜が明けた。 眠っている2人を見たゼシカは、思わず笑ってしまった。 「・・・・ホント、世話の焼ける2人だわ」 2人は、抱きしめあいながら眠っていた。
++++あとがき+++ うわーーーーっ!! 何だコレーーーっっ!!!! 何なんだコレェェェェっっ!!!! 絶対人にお贈りできるようなモンじゃねぇよ! 何やってんのアンタァ!(((己だろう 謝罪するゎ・・・ごめんなさいねぇ長月様・・・ こんな馬鹿っぽい小説で・・・ ていうか、なんかこっちがノロケちゃうような小説じゃんかっ! 激甘っ!糖分取りすぎ!!((ちっげぇよ もうクク主はこれでいいと思うから! 私はこれがクク主だと思うから!! 次回お楽しみに!!!((逃げ
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ということで翠麗さんよりクク主小説を頂きました! 元ネタは掲示板でのクク主トークで私が発した言葉という残念なものなんですが(笑) 久方ぶりに甘〜いクク主を拝んだ所為か鼻血が止まりませぬ…!(変態) 本当にありがとうございましたー!次回のクク主も楽しみに読ませて頂きますね! |